野良狼と野良少女


「いいじゃん、あんたはあみぽんと同棲するんでしょ」


「俺がいない場所でヤノが一緒にいることが不愉快」


「それが親友への別れの言葉か」

「うっせえチビ」





いつにもましてご機嫌ななめな旺太とヤノくんのいがみ合いも今日で最後か…


いや、これに関してはもう見れなくても全然構わないんだけどね。



でも全く見れなくなったらなったでちょっと寂しい気もしてしまう。




「さ、帰ろ帰ろ。打ち上げー!」


「何食べようか、スーパー寄ってお菓子も買いたいな」


「いいねいいね!寂しさなんかどっかやって、今日は思う存分楽しむぞー!」





綾野家で行われるパーティーのためにルンルンで帰路に着く兄妹の背中を見つめる。


高校生活、楽しかったな。



はじまりは最悪だった。



人生初のパパ活は大失敗。しかもそれを学校のヤンキーに見られて。


終わった…と思ったけど、実はヤンキーじゃなくてとっても優しい…ちょっと意地悪な男の子で。



気づけば、好きになっていた

そして気づかぬ間に、好きになってくれていた。



私の高校生活の思い出にはどこにでも旺太がいるんだ





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