野良狼と野良少女
「いや、だってこないだあった時とキャラ違くね」
「……なんのこと、デスカ」
「はぁ?だからお前がパパ…」
「言わないで!!!!!」
「は?」
やっぱり、一ノ瀬くんは覚えていたらしい。
残念ながら、私の平穏な学校生活はここで終了かもしれない。
「あの、その…私がこの間、……活してたことは誰にも言わないでください」
ごにょごにょしゃべる私を一ノ瀬くんは怪訝な顔で見下ろす。
「……なんで?」
「……はい?」
この人、変な人なのだろうか。
そう思って顔を見て見たけど、彼は至って真面目だ。
それどころか不思議に思ってるかのように眉をひそめている。
「そんなことしてるなんて、やっぱり変じゃん。…いやあの日1回限りだったしもうアプリもやってないけどね?」
「変?今どきパパ活してる奴なんかいくらでもいんぞ」
「……それでも言わないで、ただでさえ友達いないのにみんなになんて思われるか」
「やっぱ友達いないんだ」
「……いません」
やっぱってなんだ、やっぱって。
そこそこ失礼だよ、なんて。
高校3年間1度も1緒に行動する友達がいなかった私の心が泣いている。