野良狼と野良少女
「旺太くんと住んだらどうだ」
なんて、先に同棲を提案してきたのはまさかのお父さん。
一人娘が彼氏と同棲なんて、お父さんなら必死こいて止めるものじゃないのか…?とも思ったけど、私を心配してくれてることはシンプルに嬉しくて
相変わらず別邸も持っているお父さんだけど、私とお母さんとの思い出があるあのマンションにも前よりたくさん帰ってるんだって。
あの場所はお母さんがいる、私もお父さんもいつでも帰れる場所なんだ。
「髪の毛、何色にするの?」
「んなカラフルにはしねえよ。伸びたとこリタッチしてカットしてもらうだけ」
1度も髪を染めたことのない私にはよく理解できなかったけど、ようは今のキャラメルブラウンのままってことらしい。
金髪…ちょっと期待したんだけどな。
はじめてお父さんに会った時から旺太はずっと暗髪のままで、染めてもいいんじゃない?と言っても金髪には戻ることはなかった。
それが私としてはちょっとだけ寂しくて、時々写真フォルダを漁る夜もあったり。
旺太には内緒だけどね。