野良狼と野良少女
「…お前やっぱ馬鹿だよな。考えなしってか能天気?」
「え、初めて言われたんだけど…」
どちらかというと今までは、しっかりしてるねって言って貰える人生だった。
能天気か…たしかに一ノ瀬くんにはダメなとこしか見られてないけど。
「まああの事は言うつもりないけど、今後は知らないオッサンにホイホイついてくのやめろよ」
一ノ瀬くんはふっと鼻で笑って私の額を軽く小突く。
私がさっき言われた言葉そっくりそのまま返すんだけど、意外とよく喋るなこの人。
オオカミとか冷徹とか言われてるけど、やっぱりそんなことはない
たしかに髪色とか目付きとかすごく高い背とか、怖く見えるのはわかるけどね。