野良狼と野良少女
その視線に耐えられずつい焦ってしまった。
何も言っちゃいけないのに、つい口から言葉が溢れてしまう。
「っお金なら返すよ…!なんなら今からまたあのアプリで…」
「学習しねえな、バカが」
「……他に手段がないなら、そうするしかないじゃん」
「カラダ売るワケ?好きでもないオッサンに」
「……それしかないなら…そうするしか」
「……はぁ。どこまでも馬鹿だなお前、気持ち悪い」
一ノ瀬くんはハッキリそう言ってため息をついた。
軽蔑というよりは、呆れといったため息に感じた。
じゃあどうしろって言うんだ。
お金を返さなきゃいけなくて。
でも私にはお金が無くて、バイトもしてなくて。
頼れる大人だって……
「いないんだよ……私には」
「……なに」
言うつもりなんてさらさらなかったのに、私の口からは涙のようにぽろぽろと言葉が漏れた。
「頼れる大人なんて、一人もいないの。自分で生きてかなきゃいけないんだよ」
なんて、きっと君は理解してくれないだろうけど。