野良狼と野良少女




本心だった。


どんな人をイケメンと思うか、ということなら私はどっちかといえば若手王道イケメンよりも渋いベテラン俳優のような人が好きだから。


一ノ瀬くんは前者だ。

残念ながら恋愛経験の手薄な…というかゼロに近い私には好みのタイプなんてわからない。




「…一ノ瀬くんこそ私にモデルになればなんて、好みなの?」


「いいや全く。俺はキレイなオネーサン一択」


「しばくよ?」




やり返してやろうと思ったらしっかり私も好みじゃない発言を食らったわけで。


好みじゃないどころかキレイなオネーサンでもないといわれた気がする。




別に好きな男の子相手とかじゃないからいいけどさ…




「……ねぇ、一ノ瀬くんはなんであの時お金ばらまいてまで助けてくれたの?」




イマイチ理解できなかった。


彼はいわゆる不良で、他の人のこと見下してそうで、私と縁なんか全くなかったのに。




「……なんでだと思う?」


「わかんないから、聞いてる」





私がもし関わりのない異性が…まあ男の子が女の人に連れ去られることはないとして。



女の子でも、知らない人がトラブルになっている現場に突入しようとは思えない。

私なんか役に立たないだろうし、トラブルが悪化するだけだろうし。




…その点は一ノ瀬くんは不良だしコワモテでから大丈夫なのかもしれないけど。


少なからず、お金をばらまこうなんてことは一切思わない。お金がないからってのもあるけど。




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