野良狼と野良少女




「分かんないなりに想像してみれば」




想像…か。




「……お金がありあまって困ってた、とか」

「俺は石油王か」




石油王に見えなくもないビジュアルしていらっしゃいますけどね。

金髪だし。(関係ない)




「たまたま片手にお札を持って歩いてた、とか」

「俺は財布か」




…財布なんかいらない、とかいうワイルドな思考の持ち主かもしれないじゃん。




「……はっ、私の事もっと高額で売り飛ばそうと」
「もういいバカ」




食い気味に否定してきて今までで一番深いため息をつかれた。




「…自分が考えろって言ったくせに」


「お前がそこまでバカで宇宙人思考だとは思ってなかったからだ」




「ひどくない?」

「ひどくないな」



一ノ瀬くんはふっと笑った。






ん……?



「笑った…!?」


「なんだようるせえ」




急にでかい声で目を見開いた私を一ノ瀬くんは睨みつける。


怖いけどそんなん今どうでもよくってさ。




あの冷徹オオカミが笑ったよ…!しかも自然にだよ…!?



失礼ながら表情筋が死んでる人だと思ってた。



< 31 / 240 >

この作品をシェア

pagetop