野良狼と野良少女
「分かんないなりに想像してみれば」
想像…か。
「……お金がありあまって困ってた、とか」
「俺は石油王か」
石油王に見えなくもないビジュアルしていらっしゃいますけどね。
金髪だし。(関係ない)
「たまたま片手にお札を持って歩いてた、とか」
「俺は財布か」
…財布なんかいらない、とかいうワイルドな思考の持ち主かもしれないじゃん。
「……はっ、私の事もっと高額で売り飛ばそうと」
「もういいバカ」
食い気味に否定してきて今までで一番深いため息をつかれた。
「…自分が考えろって言ったくせに」
「お前がそこまでバカで宇宙人思考だとは思ってなかったからだ」
「ひどくない?」
「ひどくないな」
一ノ瀬くんはふっと笑った。
ん……?
「笑った…!?」
「なんだようるせえ」
急にでかい声で目を見開いた私を一ノ瀬くんは睨みつける。
怖いけどそんなん今どうでもよくってさ。
あの冷徹オオカミが笑ったよ…!しかも自然にだよ…!?
失礼ながら表情筋が死んでる人だと思ってた。