野良狼と野良少女
「3万で飯だけなわけないじゃん、お姉ちゃん世の中なめすぎでしょ。早くこっち来い」
「いやです、離してください!警察呼びますよ」
容赦なく私の腕を引っ張りその場所に連れていこうとするおじさん。
抵抗もむなしく、少しずつ建物に引っ張られた。
やっぱり、そんなに都合のいい話があるわけなかったんだ。
アプリを見て、薄っぺらい文章だけで即決した自分の浅はかさを恨んだ。
「うるせえなクソガキ!いいから来いって言ってんだよ!」
もうだめだ、連れ込まれる。
自業自得だけど…わかってるけど、神様でも何でもいいから助けて…
「助けて、誰か…!」
蚊の鳴くような私の声は、無惨にも夜の繁華街に消えた。
終わった。
…そう思っていた。
「――ねえおっさん、何オンナノコに乱暴してんの」
凛とした声が響き、引っ張られていた腕と反対の腕を掴まれた。
私の足が止まり疑問に思ったのかおじさんも足を止める。