野良狼と野良少女



「自己紹介なら先に一ノ瀬くんがしてよ」


「なんで」


「人に名前を聞く前にまず自分が名乗る、みたいな」


「だりぃ」

「言うと思った」




持ちかけたのは私とはいえ、だりぃと言われるのは目に見えていたのである。




「何者って何さ、私は私だよ。ただのそこら辺の雑草のようなJKですが」


「花のJKなら聞いたことあるけど雑草は初耳だわ」


「例えでしょ例え」





バカは会話が通じなくて困るとか言ってたの、そっくりそのまま言い返してやりたい。


それはまるでブーメランのごとく彼に突き刺さるはず。





「まあでもお前なんかそこらへん咲いてそう」


「待ってそれ限りなくディスってるよね?」


「ほら、たんぽぽみたいな」


「ねえ知ってる?たんぽぽって雑草なんだよ」


「へぇ。俺頭ワルイから知らない」




この男は……!

ひねくれてるったらありゃしない。




私も大概人の事言えないかも知れないけどこの人特にひどい。


絶対そう、失礼すぎませんかね。




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