野良狼と野良少女
「睨むなよ、カワイー顔が台無し」
「その発言売れないホストみたいだし、さっきの今でその心篭ってない棒読みはさすがに傷つく」
「メンタル弱、豆腐みたい」
「ハゲればいいのに…」
ため息をつけばハゲれば発言がツボにハマった一ノ瀬くんは肩を震わせる。
やっぱり、だんだん前髪の生え際が後退していってカッパみたいにハゲればいいと思う。
「大丈夫、俺父さんももじいちゃんも髪フサフサだから」
「世の中には突然変異ってものがあるんだよ、一ノ瀬くん」
「ひねくれてんな」
「お互い様でしょ」
なんて言い合いをしていて時間が経ってしまうのは最近よくある事だ。
ほんと、気が合うんだか合わないんだか。
確実に言えることは、少なからず彼と私は似た部分があるということだ。