野良狼と野良少女



とりあえず行く?どこへ?




「一ノ瀬くんプリントまだ終わってな…」

「終わってる」




ひらっと私の顔の前に差し出されたプリントは空欄が全て不器用な文字で埋められていた。



さっきまでほとんど真っ白だったのに…っていうか、




「字汚…」


「うるせえ、本気出してねえから」


「ふはっ」





普段授業中ペンすら出していない一ノ瀬くんは一体いつ本気とやらを見せてくれるんだろうか。



きっと、一生見ることは無い。





「早くしろ」


「いや私一ノ瀬くんのこと待ってたんだけど!っていうかどこ行くの、私帰りたいって言ったじゃん」


「ヤノんち」


「……は??」




一ノ瀬くんはプリントを教卓の上にほっぽって教室を出ていく。





ヤノんち?今から?


行くぞって何、私もってことなの?




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