野良狼と野良少女



「リビングこっち」


「だからお前は家主か!?」


「うるせえなさっさと飲みもんもってこい」


「追い出すぞ」





我が家のように先導する一ノ瀬くんとぶーぶー文句を言うヤノくんを最後尾につけてお邪魔する。




本当によく来るんだな一ノ瀬くん。


いつも一緒にいるしまあ自然なことか。




私は家を行き来するほど人と仲良くなったことがないから残念ながら分からないけど、少なからず羨ましいことは確かだった。




「あ、ヤノくんこれ…急遽だったから大したものじゃないけど」





リビングについて荷物を下ろす時、持ってきたビニール袋をヤノくんに渡す。





引きずられるように連れてこられたけど、さすがに人の家に手土産なしで上がれるほどふてぶてしくない。


そう言って強引に道中のコンビニに寄ってスイーツをいくつか買ってきたわけだけど。





「え、天使……?」





ヤノくんはこれでもかというくらい目を見開いて唖然としていた。


人の家に手土産持ってくのって常識じゃないのかな…




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