野良狼と野良少女



「だから言ったろ、今どき手土産なんて古風だって。あみばあば」


「一ノ瀬くんは一旦黙って、というかずっと黙ってて」




上着を返した時の菓子折りのセンスをいまだにいじってくるこの男はやはり性格が悪い。




急いで買ったお土産にこんなに感動してくれるヤノくんの心の綺麗さでも見習って欲しい。



心のノート読んでこい。





「はは、さすが猛獣使い。俺10年近くかけても調教しきれてないのにこの猛獣」



「ヤノ、はらへった」

「ほらね」





我が物顔でソファーにふんぞりかえる一ノ瀬くんはまるで帝王といったところだろうか。




彼の誕生日プレゼントは心のノートで決定だね。


誕生日、知らないけど。




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