野良狼と野良少女
「お、これ一葉が好きなやつ」
「ああ、それは一ノ瀬くんが選んだやつ」
ヤノくんが手に取ったダブルチョコレートパフェ。
どうやら偶然にも一葉ちゃんの好物だったらしい。
あれ?でも一ノ瀬くんたしか……
「うん、それ俺のな。」
ですよね…
『俺これね』
『え、なんで一ノ瀬くんの分まで買う前提なの』
『俺がこれ好きだから』
そう言ってカゴに勝手に入れてきたの覚えてた。
「太一ぃ〜、おなかすいたあ……ってああ!ロンソンのチョコパフェ!」
「バ一葉、それ俺のな。触んな」
突然ひょっこり現れた女の子がヤノくんの手のチョコパフェに手を伸ばして。
それを阻止するかのようにまた腕を伸ばしてパフェを取り上げたのは一ノ瀬くん。
この子…
「バカと一葉を繋げんなクソ野良狼」
「口悪ぃな、バカはバカだろ」
「うるさい、学校行ってるくせに私よりバカ」
一ノ瀬くんに猫のように威嚇する女の子。
たぶん、一葉ちゃん。