野良狼と野良少女



「覚えてない?同じ学年にいたじゃん、クソ美人で目立ってた」


「あー!!思い出した、2年の時隣のクラスだった薔薇みたいな女の子でしょ」




…薔薇?


会話の流れからして私のことだろうけど、薔薇とは。





「薔薇っていうよりか百合だろ、真っ白で消えそうな感じが」


「バカだね太一、センスない。こういう透明感爆発してる子は案外真っ赤な薔薇のほうが似合うのよ」


「なんだと?白には白だろ、絶対百合」


「薔薇に決まってるでしょ、今すぐ花屋いって2輪とも買ってこい」




2人のいがみ合いの内容はイマイチ理解が出来ないけど、私の話をしてるんだよね…?


薔薇と百合どっちが似合うかなんて今どうでもよくないですか、なんて口を挟む余裕もない。




「おいバカ双子、困ってんぞ客人」


「あ、ごめん叶野さん!俺ら双子なんだけどいつも意見は正反対でさ〜」




珍しく救け船を出してくれた帝王に1ミリだけ感謝。


と思ったけどソファにふんぞり返ってる姿勢に加えて綾野家に買ってきたスイーツを一人で食べてるからやっぱ帳消しかな。




しまいには冷蔵庫から勝手にジュースを持ってきて飲み出すからいよいよ家主が誰だか分からなくなってきた。




< 60 / 240 >

この作品をシェア

pagetop