野良狼と野良少女


―― ―




「ねえあみぽん、あたしにLIMEのID頂戴よ」


「うん、私友達5人しかいないけど…」


「あははは、すっくな!!家族だけじゃん」




一応全部友達だよ…なんて突っ込みは心にとどめておいた。




綾野家に来て1時間ほど、くだらない話をしていたら一葉ちゃんとの距離は少し縮まった気がした。


というか一葉ちゃんから積極的に来てくれて、人見知り前回の私が救われたんだけど。




「はい私のLIME登録完了〜!今度はむさ苦しい男連中なしでデートしようね」




慣れない操作を一葉ちゃんに任せ、手に戻ってきたスマホ。

友だち一覧に表示される “ 一葉 ” の名前に少し心が暖かくなった気がした。




高校入って初めてと言っても過言ではない女友達。


嬉しくないわけがなく、柄にもなく頬が緩む。




「あ」






不意に横からかっさらわれた私のスマホは隣の男の大きな手の中。



まったく、なぜこういつも強引なんだ。




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