野良狼と野良少女
また強引…だけど、私のカバンまで持ってくれちゃうスマートな仕草に心が揺れる。
きっと一ノ瀬くんにとってはこれは当たり前なんだろうけど。
彼氏もいなけりゃ男友達すらも私にとっては全部初めてで、全部に心が揺れ動いてしまう。
「えぇあみぽんもう帰るの?なんで?泊まんないの?」
「旺太もいつもは泊まってくじゃん、珍しい」
玄関まで送りに来てくれた双子がブーブー文句を言う中一ノ瀬くんはそのまま靴を履く。
「一ノ瀬くん、カバンありがとう」
もう自分で持てますって意味だったんだけど。
「おー」
なんてそのまま綾野家を出た一ノ瀬くんの肩に2つのカバン。
持ってくれるのかな…?
対して重くはないけど、申し訳なくなってしまう。