野良狼と野良少女


「あみぽんあみぽん」




自分で持つよって言おうとしたときに、不意に一葉ちゃんにぽんと肩を叩かれて。




「そういう時は素直に甘えるのが可愛い女だよ、旺太は手強いんだから〜」


なんて耳うちされる。



5秒後に意味を理解した私の顔はぼっと熱くなった。




「ちがっ…!!私たちそんなんじゃ」


「いいのいいの、旺太もなんかあみぽんのこと大事にしてるっぽいし?いいじゃん青春♡」




盛大な勘違いを繰り広げている一葉ちゃんは結局聞く耳持たずだった。




「羅奈」


凛とした声が私を呼ぶ。




ああ、ずるいな。

青春恋愛初心者マークの私にそんなに優しくしないでよ、なんて。




少女漫画のように優しくされて私はきっと勘違いをしかけている。



だめだよ、一ノ瀬くんの事だからきっとなにも考えてない。

ほっといたら私がまたアプリに手出すとでも思ってるんだろう。




きっと、そうだって。



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