野良狼と野良少女
「またしばらく帰れなくないなんて、もう今更言わなくてもいいのに」
ユキさんが置いていった封筒を開けると予想通り分厚いお札の束。
こんなもの、いらない。
リビングの金庫を開けてそのまま封筒を入れ、鍵をかける。
同じ厚さの茶封筒がいくつも積み重なってるのをあの人は知ってるのかな。
決めたんだよ、頼らないで生きてくって。
あんな人…父親でもなんでもないんだから。
「――あざしたー」
「はぁ…」
つい買いすぎてしまった。
コンビニのビニール袋には新発売のスイーツ、ジュース、スナック菓子。
無駄遣いしてる余裕ないでしょ、なんて自分に言い聞かせても使ってしまう時はある。
1人じゃこんなに食べられないのに。
「おねーーーーさんっ、1人?」
「…いいえ」
「いやどう見ても1人ジャーン!ウケる!そんなに買い込んでどうしたの?失恋?爆食い?俺付き合ってあげよっか」
コンビニ前にたむろっていたピンク髪の男は帰ろうとする私に並走するようについてきた。
運が悪い。
このコンビニはいつも不良のたまり場になってるけど、まだ17時だしとか思って油断してた。