野良狼と野良少女
「オネーサンなんか猫っぽいね、美人だしクールそうだし。どっちかっつーと野良猫?」
「…着いてくるのやめてもらっていいですか」
無駄に広いコンビニの駐車場を出ればすぐ向かいに私のマンションがある。
…こんなよくわからない人に自分の家がバレるのは嫌だな
でもこの距離じゃ巻いて帰ることもできないし、だからと言ってこの人のせいで遠回りして帰るのも癪だ。
「つれないなぁ、んじゃせめてLIMEちょーだい?」
「嫌です」
「がびょーん!俺ショック!そこそこモテるんだけどこの顔タイプじゃない?」
なんて私の前に回り込み、進めなくしてきたしつこい男と初めて視線が交わった。
ピンクの髪はセンターパートにセットされ、猫目に色素の薄い肌、綺麗な鼻筋。
「…黙ってれば綺麗な顔だと思いますけど、うるさいので」
「ぎゃははは、それよく言われるやつーぅ」
「…あの、もうほんとについてこないでください」
信号が変わったらすぐに渡って帰りたい。
その前にこの人を諦めさせなきゃいけないわけなんだけど。
どうにもしつこい、チャラい、香水臭い。