野良狼と野良少女


「人の連れナンパしてんなクソ太郎」


「太郎じゃなくて祥太郎(しょうたろう)っす!!」


「うっせえ太郎」




さっきまでしつこかった人は今や私を視界の隅にすら入れてないように見える。


なんか複雑なんですけど…




「…ねぇ、一ノ瀬くんこの人知り合いなの?っていうかなんでこんな所に…」




一ノ瀬くんは今日学校にいたし、なんなら帰り際に挨拶程度の会話をした。


その彼が近所でもないこのコンビニに私服で来ているこの状況がイマイチ理解できない。




「…こいつ中学の後輩、太郎」


「ちっす、太郎じゃなくて祥太郎っす!」




おねしゃーす!なんて私の手を勝手に握りブンブン振る太郎くん。


なんなの、この人…



宇宙人に取り囲まれてるような気分になってきた。


もはや私がおかしいのかな。




「何こんな治安悪いコンビニ一人で来てんだよ、アホか」


「はい?しょうがないでしょ1番近いんだから!」


「こんなアホみてぇな男いっぱいいんだからもう二度と来んな」




私の髪の毛をわしゃわしゃ掻き乱す一ノ瀬くん。


治安悪いって、あんたの後輩でしょうが…




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