野良狼と野良少女


「んなこと言わないでくださいよ旺太さーん、旺太さんの女に手出すほど恐れ知らずじゃないんで俺ら」




太郎くんはケラケラ笑って私にVサインを向けた。




彼いわく、二度と手出さないって意味のVサインらしい。

よく分かんない。



そもそも彼女じゃないし。




「旺太さん!お久しぶりです〜!」


「マジモンの旺太さんじゃないすか!何してんすか!夜遊びやめたんじゃないんすか?」


「バイトだよバイト。集まんな」




知らぬ間にコンビニ前にたむろってた他の人たちも一ノ瀬くんを囲うように集まってきて、居心地の悪さに俯いた。



赤髪を筆頭に青、オレンジ、紫…とまあ一人も落ち着いた色は見当たらない。


そしていろんなところにピアスやらなにやらぶら下がってていよいよ異世界交流。



これ帰っていいかな、バレないかな。


ってか一ノ瀬くんの不良説やっぱり間違ってなかったんじゃ…




「あれ?このオネーサン、そこに住んでる叶野グループの…」


「…っ、違います人違いです」




集団の中の一人の少年がその名前を口にした瞬間に私はぱっと顔を隠した。




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