野良狼と野良少女


――


ガチャ


「やっぴーあみぽん!さっきぶり〜」




もうすでに見慣れた玄関ドアから顔を出した部屋着姿の一葉ちゃん。


そう、一ノ瀬くんに連れてこられたのは当然ホテルなんかではなく綾野家だった。




「太一まだ帰ってきてないけどあがって!今日はお泊まり会だよーん!」




一葉ちゃんのテンションの高さに救われて一気に肩の荷がおりる。


友達って本当に大事な存在なんだな…



今まで友達を作ろうとしてこなかったことを少し後悔した。

だけどその過去があるから一葉ちゃんと仲良くなれたんだもんね




「ねえ泊まりって、ご家族とか大丈夫なの?」


「大丈夫大丈夫、うち今2人暮らしだから。パパは離婚したていなくてママは単身赴任中。旺太もほぼ住み着いてるくらいだし」




へらへら笑う一葉ちゃんに唖然とした。


一葉ちゃん達も片親だったんだ…




「旺太が拾ったって時点でワケありなのは気づいてたし、境遇似てるし、気使わないで」


「一葉ちゃん…ありがとう」




こんな優しい言葉を掛けてもらうのは初めてで、なんだか泣きそうになる。


私もこんなに心が綺麗な子になりたい。






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