野良狼と野良少女
「家にいたくなくなったらここに来い。お前の居場所はもう俺らの中にある」
一ノ瀬くんはぶっきらぼうにそう言って笑った。
本当に、この人はヤンキーじゃなくてただのヒーローじゃん。
何回私を助けてくれるんだろう。
正義のヒーローとやらが実在しないなら、私にとっては一ノ瀬くんがそれなのだろう
「え、待って。すごい自然に聞いてたけどここ旺太の家じゃないんだけど」
「俺の第2の家」
「勝手に決めんな!帝王か!この帝王太!!」
キー!なんてサルみたいに一ノ瀬くんに殴りかかる一葉ちゃんは片手で制されていた。
この光景、双子のもう片方でも見たことがあるような。
「ただいまぁー、叶野さんいらっしゃい」
「ヤノくん、お邪魔してます」
なんてネタにしつつも、私がいるのが当たり前かのように何も言わないヤノくんにもまた救われる。
あの日、あの場所で助けてくれたのが一ノ瀬くんで良かった。
改めて、心の底からそう思う。
「ね、ゲームしよ!今夜は寝かせないからね、あみぽん」
「彼氏みたいな発言すんな」
「えぇなにぃ?旺太ってば妬いてんの〜?」
「しばくぞバ一葉」
今夜はきっと、長くなるなあ。