野良狼と野良少女
「おかえりーあみぽん……って、うわぁ!!なんでそんな髪の毛びっしょびしょのままなの!」
リビングで私を迎え入れた一葉ちゃんは目をまん丸にした。
まるで化け物でも見たかのような反応にムッとする。
びしょびしょ?さっき髪の毛拭いたけど…
…あれ、拭いたっけ?
「あみぽん?聞いてる?」
ぼーっとする頭、ゆらゆら揺れてぼやける視界。
視界の端に見慣れた金色が映りこんだ。
一ノ瀬くんはだんだん私に近づいてきて
正面まで来て私に腕を伸ばす。
「…は、あつくね」
「冷たい…」
頬に触れた一ノ瀬くんの大きな手はひんやりしていて気持ちよかった。
すすすーっとその手が私の額に移動して、私はされるがまま身を委ねる。
ぽす、と
そう一ノ瀬くんの腕の中におさまった。