野良狼と野良少女
次に目が覚めたのは日が昇りきった午後0:30。
綾野家のソファはソファベッドだったらしく、ベッドに変身したそれに私は体を預けていた。
みんな、学校行っちゃったのか。
学校パス、なんて言っていた一葉ちゃんの気配もなかった。
目覚めた私を迎えてくれたのはテーブルの上のスポーツ飲料とりんごゼリー。
そして乱暴な字で “ 食って寝とけ ” と書かれたラブリーなメモ帳。
メモ帳は一葉ちゃんのだとして、こんな字を書く人は私は1人しか知らない。
「…ふふ」
気持ち悪いなぁ、私。何ひとりでニヤニヤしてんだよってね。
まあ誰もいないからいいんだけどさ――
「何ひとりでニヤニヤしてんの、キモいよ」
誰もいなかったはずの空間から声がした。
これはきっと、熱に侵された私の幻聴だろう。
うん、そうそう。