風船より遠く

第四章 アヤセちゃん

 救出成功!

 さっすがあたし。

「そういえば……ちゃん……お姉ちゃん……たっけ」

 ってなんかわけわかんないこと言ってるんやけど。

 独り言にしてはちょっと意味不明やな。

 なんの前触れもなしに突然お姉ちゃんがどうとかって……。この子どんなこと考えてるんや。まあ、あたしもお姉ちゃんの立場なんやけどね。

「……あの、あの……」

「あたし流羽(るう)。苗字がアヤセだから、流羽じゃなくてアヤセで読んでくれへん? あたし最近アヤセが気に入っとんねん」

「あ、は、い……?」

「どないしたん?」

「あやわ、あの、私の友達にも絢瀬(あやせ)って子がいて……」

「ほへぇ。偶然やわなぁ。ま、時々見かけるしな、アヤセ」

 色々考えてるみたいな顔してる。

 なんか、妹と同じ学年くらいの子っぽい。
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