強くてニューゲームな契約彼氏ー恋も愛も無理ゲーではありません
 無理もないが、ヨリは自身の女性受けを過信している。恋人にしてあげるのに金銭を要求され驚く。

「いくら欲しいの?」

 動揺から言い値を払う返し方をしてしまう。言った後で再び焦るも、あかりは身の丈にあった金額を提示した。

「1ヶ月で23万、4万くらい頂けると嬉しいですね」
「……リアルな数字言ってきたね。それだけでいい? あ、1ヶ月も拘束はしないよ、オレもこの企画に掛かりっきりになれないんだ」
「なら日割りで結構です。たくさん頂いても頂いただけ使ってしまうので」

 あかりは嘘をついていない。この宵越しの銭は持たない精神、世が世なら粋な江戸っ子となれたろう。

「ふーん」

 納得しない様子。ヨリからすれば堅実を装って取り入り、良からぬ事を企むのではないか疑わしい。

 二重を見開いて観察する。あかりは目の覚める美人でもなければ可愛らしさもない、プライベートのヨリならば声をかけない。

 だが、この何処にでも居そうな女性こそ企画の肝。ヨリはシンデレラを妬かせないシンデレラストーリーを作ろうとしていた。

「あ、あの、何か?」
「金はさっき言った額で払うよ。契約成立! 撮影始めよう」
「いきなりですか! 私、何をしたら?」
「なんにもしなくていい。オレの質問を答えてる所を撮る」

 あかりに心の準備をさせず、携帯電話を向け撮影を始める。
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