強くてニューゲームな契約彼氏ー恋も愛も無理ゲーではありません
 なんとヨリはマンションの最上階を貸し切っているようで、エレベーターの目的階の名称が【studioヨリ】となっている。

 自宅兼仕事場という使い方をしても豪勢だ。マンションの立地や規模、設備を考慮すると、あかりの貰っていた給料では一室すら借りられないだろう。

「あ、どうも」

 フロアへ出るとスウエット姿のヨリに出迎えられた。

 ヨリはトレードマークのピンクに染めた襟足を明後日方向へ跳ねさせ、明らかに起き抜けな出で立ち。面接の体で身なりを整えるあかりとの対比は成功者とそうじゃない者、もしくは雇用主と労働者の関係性を感じ取らせる。

「こんにちは、今日は宜しくお願いします。その、眠そうですね」
「昨日は遅くまで配信してたんだ。それより育成の話をしてもいい? こっち来て」

 挨拶もそこそこに、ヨリはあかりを機材が所狭しと置かれた部屋へ招く。

「凄い量ですね、お仕事用ですか?」
「配信用の機材。もう使ってないけど」

 配信機材と言われてもマイクやヘッドホンの用途しか分からないが、使わなくなった道具を保管する部屋は倉庫と呼ぶと承知している。
 まぁ、倉庫でもあかりの部屋より広いが。
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