この初恋に、ピリオドを
(もしかして、これが恋?)

温かく、苦しいほどに幸せなこの特別な感情を知った時、総司は戸惑ったものの嬉しかった。心春とただベンチに座って話しているだけで、時間があっという間に過ぎていく。今まで出会った人の中で一番、時間の流れを早いと感じた。

(二人からの世界に行けたらいいのに……)

オススメの本を紹介し合ったり、ボール遊びをしたり、バドミントンをしたり、歌を歌ったり、たくさん遊んだ。いつもあっという間に「バイバイ、またね」と言って帰らなければならなかった。

そして総司が九歳になった頃、父が神戸に転勤することが決まり、また引っ越すことが決まった。心春と離れたくないという気持ちが強まり、その時は今まで以上に泣き、「引っ越したくない!!」と駄々をこねて両親を困らせてしまった。

「……引っ越し、したくない。春ちゃんと離れたくないよ」

引っ越しをする前日、公園で心春に総司がそう言うと、心春はそっと手を握ってくれた。

「私も離れたくない。だから、約束しよう?大人になったら絶対に会うの。それで、私は総ちゃんのお嫁さんになる!お嫁さんになったら、ずっと一緒にいられるんだって!」
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