この初恋に、ピリオドを
華奢な心春の肩に触れる。心春はびくりと肩を震わせた後、総司の方を向く。そして目を乱暴に拭った後、「何でもありません」とお決まりの台詞を言う。総司もいつもの台詞を言う。

「そうですか。……気分が悪くなったら、すぐに言ってくださいね」

「はい」

その後、二人は色んな動物を見て回った。ライオンにサイ、チンパンジーにカンガルーなどたくさんの動物が眠ったり遊んだりしている。その姿に頰を緩ませながら総司は動物たちを見ていた。

「心春さん、次はあそこに行ってみませんか?珍しい鳥がいるみたいでーーー」

パンフレットを目にしながら総司が次に行く場所を提案していると、ドサリと音が響く。顔を上げれば心春が地面に倒れており、道を歩いていた人が悲鳴を上げた。

「春ちゃん!!」

総司の顔が一瞬にして真っ青になる。やはり気分が悪かったのだ。倒れる前に支えられなかった自分に苛立ちながら、総司は近くにいた人に救急車の要請をお願いし、心春に声をかける。
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