この初恋に、ピリオドを
あの言葉は、総司に向けられたものではない。それが痛いほどわかる。

心春の冷たくなっている手を握りながら、総司は体を震わせながら、決めたくない覚悟を決めた。



救急車で心春は搬送されることになり、総司も当然付き添い、病院へと行く。処置室に心春は運ばれていき、総司は廊下に置かれたソファに座り、大きく息を吐く。

「春ちゃん……」

心春はまだ意識を取り戻していない。傷が思っていたよりも深いようだ。医師からそう聞かされた時、総司の指先が冷たくなった。

「春ちゃん……春ちゃん……」

処置室の扉が閉ざされたから、どのくらいの時間が経っただろうか。扉が開き、医師が部屋から出てくる。総司は立ち上がり、「先生」と声をかけた。

「処置は無事に終わりました。降谷さんも処置の途中で目を覚ましましたよ。傷は深いですが、脳などに異常はありませんので安心してください」

「よかった……。ありがとうございます」
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