この初恋に、ピリオドを
「……春、ちゃん……」

美しい結婚式場では笑顔一つ見せなかった彼女が、幸せそうに笑っている。それは総司の見たことのない美しい笑顔だ。

「こんな顔もできたんだね……」

総司の頰に涙が伝う。この笑顔を自分が向けられなかったことが悔しかった。隣にいる名前も知らない男性にただ嫉妬している自分がいる。だが、心春が幸せを掴み取ったことが、まるで自分のことのように嬉しく、幸せだった。

「おめでとう、好きだった人」

泣きながら総司は笑う。好きな人が世界で一番幸せになったのなら、次は自分が幸せにならなくてはと心に誓いながら。

心の中に、静かにピリオドが打たれた。










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