この嘘に、ピリオドを
人は鳥のように空を自由に飛ぶことはできない。鯨のようにずっと海を泳ぐこともできない。だからこそ、もどかしくなってしまう時がある。
(早く、ジョンさんたちのところへ帰りたい!)
病院を出てすぐ、心春は総司の家から荷物も持って空港へ向かった。荷物が少なかったため、アメリカ行きの夜の便に乗ることができた。
何時間もかけてアメリカに着くと、今度はフェリーに乗らなくてはならない。その時間さえ、もどかしかった。
「ジョンさん!皆さん!」
島が見えてくると、心春は叫んでいた。家の外で動物たちの世話をしていたジョンやアマンダの姿が見える。みんな、驚いて固まっていた。
「心春!!」
フェリーを降りた刹那、心春の体はジョンの腕の中に囚われる。ジョンの手は震えており、泣いていた。
「もう、会えないかと思った……。突然、お前の父親から「娘は結婚するから仕事を辞める」と言われて……。ずっと、会いたかった」
ジョンの言葉に、心春の瞳からも涙が溢れていく。ずっと、この温かい場所に帰りたかったのだ。