私が欲しいのは、青い春のその先
沢渡先生のこの笑顔が、もしも曇ったりしたらどうしよう?
私の気持ちを聞いたあと、困った顔になった先生を見たくない。
何も言えずうつむいた私に、沢渡先生は、
「どうしました?黒崎さん、大丈夫ですか?」
と、心配そうな顔を向けた。
業務的な表情じゃない。
心から心配してくれている顔。
「……なんでもないんです」
そう言いつつ、臆病な自分を心から呪う。
「悩みごと?受験のこととかですか?」
「いえ、受験は終わりました」
「……そう、ですか」
先生は困ったような声。
告白は、できない。
今の私じゃ、先生をもっと困らせてしまうだけ。
「……恋心って、厄介」
思わず、声に出していた。
(あ、しまった!)
と思っても、もう遅い。
先生を見上げたら、目を丸くしてこちらを見ている。
「いや、これはその……」
「黒崎さん、恋の悩みですか?」
……終わった。
そう思った。
でも。