私が欲しいのは、青い春のその先

卒業、それから





高校を卒業して、沢渡先生に会えない日々を過ごしつつ、大学に通って、勉強して、卒業した。



それから。

私は沢渡先生みたいに、高校で教師として働いている。







土曜日の夜。

私は浮かれた気持ちを精一杯隠して、沢渡先生と居酒屋にいる。

「『先生四年生』になりましたよ」



私がそう言って、おつまみに頼んだ枝豆を口に放り込むと、
「もう四年生ですか?時が経つのは早いですね」
とのんびりした口調で、沢渡先生が言った。



「先生、私が就職した時もそう言いましたよ?時が経つのは早いって」

「そうでしたか」



沢渡先生は相変わらず美しい顔でニコニコしている。



「私には決して早くなかったですよ。どれだけ早く大人になりたかったか」

「……それはどうしてでしょうか?」

「え、いや、こっちの話です」



大人になって、堂々と先生と連絡先を交換できる立場になった今でも、私は、先生に気持ちを伝えてはいない。


だけど。



< 14 / 20 >

この作品をシェア

pagetop