私が欲しいのは、青い春のその先
卒業、それから
高校を卒業して、沢渡先生に会えない日々を過ごしつつ、大学に通って、勉強して、卒業した。
それから。
私は沢渡先生みたいに、高校で教師として働いている。
土曜日の夜。
私は浮かれた気持ちを精一杯隠して、沢渡先生と居酒屋にいる。
「『先生四年生』になりましたよ」
私がそう言って、おつまみに頼んだ枝豆を口に放り込むと、
「もう四年生ですか?時が経つのは早いですね」
とのんびりした口調で、沢渡先生が言った。
「先生、私が就職した時もそう言いましたよ?時が経つのは早いって」
「そうでしたか」
沢渡先生は相変わらず美しい顔でニコニコしている。
「私には決して早くなかったですよ。どれだけ早く大人になりたかったか」
「……それはどうしてでしょうか?」
「え、いや、こっちの話です」
大人になって、堂々と先生と連絡先を交換できる立場になった今でも、私は、先生に気持ちを伝えてはいない。
だけど。