私が欲しいのは、青い春のその先
「……話は今度また聞きますよ、もう帰りましょう」
先生が席を立った。
「なんで……」
悲しくなってくる。
「冷たい、先生……」
「冷たくないです、冷静なだけですよ」
そう言った先生は、私の腕を掴んでほんの少し体を支えるように、私を立たせた。
「お会計をしてきますね」
と言って、私を先にお店の外に出した。
ほてった体に、夜風が気持ちいい。
酔ってないけど。
「黒崎さん、お待たせ」
「あ、沢渡先生、お金……」
「大丈夫、今日は先生の奢りです」
今日はって……。
だいたいいつも、先生が奢ってくれるばっかりじゃん。
(まだ、先生と生徒の関係なのかな)
ずっとこのまま、先生にとっての私が、生徒のままだったらどうしよう。
あの頃の、青春の中に閉じこもりたくない。