私が欲しいのは、青い春のその先
「沢渡先生……」
駅までの道。
暗闇に街灯の灯りが星明かりみたいでキレイ。
「……先生、私が高二の時のこと、覚えていますか?」
「え?あ、はい。学級委員でしたね、黒崎さん」
「そうです、先生。私、ものすごく不純な動機で学級委員になったんです」
沢渡先生は「え?」と立ち止まって、私を見た。
「先生のそばに居られるから、学級委員になったんですよ」
「……本当に酔ってますね?」
「マジで酔ってないです」
沢渡先生は困ったような顔をした。
それ。
その顔をされるの、本当に怖かったんだ。
「学級委員の黒崎さんには助けられました。ボクも『先生二年生』でしたから、不慣れでした」
「助けますよ。あの頃も、これからだって」
私は先生のそばに寄った。
そして先生の腕を、そっと掴んだ。
それから、目を見る。
「だって、沢渡先生のことが好きだから」