私が欲しいのは、青い春のその先
……言った。
臆病な自分はもう、卒業だ。
私、告白できた……。
沢渡先生は、
「……心強いですね」
と言って、腕を掴んでいる私の手にそっと触れた。
初めて、先生と手が触れた。
そのことに動揺して、泣きそうになる。
「そう言ってもらえて嬉しいですよ」
と、沢渡先生は言う。
その口調がいつもと変わらない、のんびりした穏やかな声で、そのことが私を焦らせる。
(これって、もしかして、相手にされてない……?)
私はうつむき、失恋に向けての衝撃に耐えるみたいに、心の中で自分を励ました。
「じゃあ、黒崎さん」
「……はい」
「ボクの恋人になってくれるということでいいんですか?」
「……」
「……」
「……えっ?」
「あれ?『えっ』って、黒崎さん……」
予想外な言葉が降ってきて、私はフリーズしてしまう。
それから、
「先生、私のこと、好きですか?」
と、思わず聞いてしまった。