私が欲しいのは、青い春のその先
沢渡先生は黙った。
その沈黙に絶望感を味わいかけた時。
先生の顔が、赤くなった。
「……もう、好きって言ってもいいんですよね?」
と、他の誰でもない、沢渡先生が言った。
「え?」
私の頬が熱を持っていく。
先生はあの頃と変わらない、心地良い声で言う。
「好きですよ、黒崎さん。本当は、ずっと前から」
先生の赤い顔が、星明かりみたいな街灯に照らされて、私は夢でも見ているんじゃないかと思った。
だけど頬を伝う涙が熱くて、
「夢じゃないんだ?」
と、呟いた。
私、ずっと欲しかった。
生徒じゃなくて。
恋人として、先生の隣に立てる日々。
「……黒崎さんにお願いしてもいいですか?」
「何ですか?」
先生は私の頬の涙を優しく指で拭って、そっと抱きしめた。