私が欲しいのは、青い春のその先
先生、今……。
私のことを「女の子」って言った。
……「女子生徒」じゃなくて、「女の子」って言ってくれた!!
「黒崎さん?」
「え、いえ、なんでも……」
ニヤける顔を見られまいと、必死でそっぽを向く。
「何か、笑ってません?」
「いや、気のせいです」
それからしばらく廊下を歩いていると、
「あっ!」
と、沢渡先生が声をあげた。
「何!?なんですか!?」
「……いやぁー、さっき、先生が自分のことを『ボク』呼びしてしまいましたよね?」
え?
そういえば、そうだった、かも?
「……大人の『ボク』呼び、変でしょうか?それで黒崎さん、笑ってた?」
(何、その予想外の言動。顔赤らめて言わないでよ!!可愛いから!!)
「沢渡先生、ちっとも変じゃないです!」
「あれ?違いましたか?」
「大丈夫です。真面目そうで良いと思います、『ボク』呼び!!」
私は親指を立てて、それを先生に見せた。
先生は少し安心した感じで、
「あれ、でもじゃあ、なんで?」
と、まだ不思議そうだった。