私が欲しいのは、青い春のその先
三年生
高校生でいられるのも、あともう少し。
秋の風がいつもより物悲しくて、切ない匂いがする。
「春香ちゃん、大学合格おめでとう!」
放課後の教室で、なっちゃんがみんなには聞こえないように、でもはしゃいで言ってくれた。
「ありがとう。推薦取れたから、一応これで受験生からは卒業」
「いいなぁ、D大でしょ?でも頑張ったね、おつかれ様」
「なっちゃんの入試が終わって、受験から解放されたらさ、また遊びに行こうね」
なっちゃんはうなずき、
「じゃあ、今日も今日とて受験のために予備校へ行ってきます」
と、手を振って教室から出て行った。
「さて、私も帰ろうかな」
鞄を持って。
校舎を出たところで、沢渡先生の姿を見つけた。