課長に恋するまで
 ウニのクリームパスタのセットをオーダーしてから、お見合いの話をした。
 同じ年で、税理士だと見合い相手の事を話すと間宮の目がキラキラ輝く。

「いい物件じゃないですか!」
「物件って」

 苦笑が浮かぶ。

「士業の人っていいですよね。会社員より自由な感じがして」
「忙しいって言ってたよ。特に一月から三月までは寝る時間もほとんどなかったって。それで彼女ができないって言ってた。いつも仕事優先になっちゃうんだって」

 平野さんが言った事をそのまま口にした。

「前に付き合った人は二月が誕生日だったから、時間作るのが大変だったって。私の誕生日が二月じゃない事を知って安心してたよ」
「先輩の誕生日を気にするなんて、平野さん、物凄い乗り気じゃないですか。先輩はなんて返事したんですか?」
「保留中」
「なんでですか?もしかして気になる人がいるとか?」
「気になる人なんていないわよ」
「じゃあ、付き合ってみればいいじゃないですか」
「そうなんだけど」
「何が引っかかるんですか?」
「ちゃんと好きになれるか、わからなくて」

 間宮が瞬きをした。
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