課長に恋するまで
 だけど、間宮は大事な事なんですよと、追及の手を緩めなかった。
 という訳で、会社帰りに間宮と二人だけで居酒屋に行った。
 お酒がなくては話せないと私が言ったからそうなった。

 新橋にあるドイツ料理が出てくるバーに行った。
 紀子と前に来た事がある場所だった。

 カウンター席に間宮と並んで座り、黒ビールを飲みながら、ソーセージをつまむ。
 ソーセージに添えられているザワークラウトが紀子の好物だったなと思い出して、少し目が潤んだ。

「で、先輩どうなんですか?」

 間宮が聞いてくる。

「エッチしてるか、してないかってそんなに大事なの?」

 思い切って聞いてみた。
 ずっと気になっていたけど、聞ける人がいなかった。

 間宮が目を丸くして信じられないものを見るような顔をする。

「大事に決まってるじゃないですか!」

 間宮の声が鼓膜に響く。
 隣の客もこちらに視線を向けるぐらいの大声だった。

「間宮、声が大きいよ」
「だって先輩が信じられない事聞くから」

 ビール二杯目だが、間宮はもう酔ってるようだ。

「いいですか、先輩」と言って、間宮の話が始まる。
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