課長に恋するまで
「遠足前日の小学生みたいな事言ってすみません」

 平野さんが恥ずかしそうに謝った。

 会ってからずっと平野さんに謝られてる気がする。
 行列に並んでる時も、並ばせてすみませんって言ってた。

「そんなに謝らないで下さい。平野さんは全然悪くないですから。むしろ、ありがたいです。私の事をそんな風に言っていただけて」

「いや、あの、お見合いでお会いしてから美月さんに一目惚れしたんで、必死なんです」

 ……うん?

「一目惚れ?」

「えっ、いや、あの」

 平野さんの頬が赤くなる。

「行きましょうか」

 平野さんがいきなりベンチから立ち上がった。
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