課長に恋するまで
 駅前のアーケード街まで歩いて来た。

 ゴールデンウイーク最終日の日曜日は天気も良く、風も気持ちいい。
 平日はずっとオフィスにいるので、日中に散歩するなんて、それだけで特別な事に思える。

 買い物客で賑わう、アーケード街の中の店を端から端まで見て歩いた。
 ドラッグストア、スーパー、靴屋、携帯ショップ、ゲームセンター、カラオケ屋、整体院、回転寿司、ファーストフード店、洋品店、ケーキ屋、雑貨屋などが並んでる。

 どの店も『ゴールデンウイーク最終日!特別セール中!』って文字があった。
 アーケードの天井からは地域の小学生が描いた絵が吊り下げられ、空中絵画展をやっていた。
 水彩画の素朴な雰囲気が伝わってくる。どの子の絵も個性的で見てて面白い。

 首を上げて歩いてると、肩が誰かにぶつかる。

「すみません!」

 あっ……。

 ぶつかった人を見てドキッとする。

「……課長」
「一瀬君」

 課長が驚いたように眉を上げた。
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