課長に恋するまで
 課長と会ったのは本当に偶然だった。
 同じ街に住んでるんだから、こういう偶然もある。

 スーツ姿じゃない課長を初めて見る。
 課長は黒白のチェック柄のシャツにジーパン姿で、普段より砕けた印象で、スーツの時よりも若々しい。

 見慣れない課長にドキドキする。

 このまま別れてしまうのがもったいない。

「あの、課長、もしお時間があったらコーヒーでも飲みませんか?」

 思い切って口にした言葉に課長が穏やかな笑みを浮かべる。

「コーヒーいいですね。大丈夫ですよ」

 やった!

 嬉しい! アーケード街を端から端まで走りたくなる!

 なんで課長といるとこんなに胸が弾むんだろう。
< 130 / 247 >

この作品をシェア

pagetop