課長に恋するまで
 息が止まった。

 びっくりして課長を見ると、課長がクスクス笑った。

「ね、何でもない人に言われたら何も感じない」

 種明かしをするように課長が言った。
 今のはその言葉を言いたかった為だったのか。

 何も感じないどころじゃない。
 胸がキュゥゥゥってなった。
 
 なんで?
 なんで課長に言われるとこんなに心が揺れるの?
 すぐ耳の側で鳴ってるみたいに鼓動の音が大きくなった。

 課長にドキドキしてる。

 これって、

 これって……。

 これって――――もしかして……。
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