課長に恋するまで

大きな仕事と恋


 石上に渡された地図を見ながら、表参道駅からの道を歩いた。
 
 目的の場所は裏通りにあり、美容室とか、雑貨店とか、カフェとかが並んでる通り沿いにあった。
 
 社外なので制服ではなく、自前の通勤着で来たけど、すれ違う人たちがみんなお洒落に見えて、気後れしてしまう。

 渋谷ぐらいまでは出るけど、表参道は来ない。

 物凄くお洒落な店が並んでるってイメージに負けて、あえて避けていた地域だ。
 会社を出る時に間宮に物凄くうらやましがられたけど、出来る事なら間宮に代わってもらいたいぐらいだった。

 アパレル商品を扱う部署にいながら、お洒落は得意ではない。
 こんな私がレイ・リーの出店準備の陣頭指揮を執るなんて悪い冗談だ。

 なんで課長は私を指名したのか。
 歩きながら課長に対して恨めしい気持ちになっていく。
 課長に会ったら無理だって言わなきゃ。
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