課長に恋するまで
おすすめの定食屋さん
昼になり、課長を十五階の社員食堂にご案内すると、臨時休業の貼り紙があった。
平日に社食が休みになるのは珍しい。
近くにいた総務の子に声をかけると、先週の金曜日にメンテナンスの為に休業になる事が決まっていたそうで、告知もしてあったよう。
金曜日は一日中社外に出ていたので、全くその情報は知らなかった。
「課長、申し訳ありません」
課長の世話係として不手際だ。
朝から確認しておけばよかった。
「一瀬君」
「はい」
「近くにおすすめの定食屋さんありますか?」
課長が無表情のまま言った。
言葉は柔らかいけど、怒ってるのか、飽きれてるか、何とも思ってないのかわからない。
「会社の裏に定食屋さんがあります。『一味』ってお店で、年配のご夫婦がやってる下町の定食屋さんって感じなのですが、お味噌汁がいつも美味しいです。きっと出汁がいいんだと思います。だからハズレのメニューはありませんでした」
無表情だった課長がほんの少しだけ笑みを浮かべたような気がした。
何か課長の笑いを誘うような変な事を言ったんだろうか。
急に恥ずかしくなる。
「あの、あくまで私の主観ですが」
もじもじと言い訳するように言葉を付け足した。
平日に社食が休みになるのは珍しい。
近くにいた総務の子に声をかけると、先週の金曜日にメンテナンスの為に休業になる事が決まっていたそうで、告知もしてあったよう。
金曜日は一日中社外に出ていたので、全くその情報は知らなかった。
「課長、申し訳ありません」
課長の世話係として不手際だ。
朝から確認しておけばよかった。
「一瀬君」
「はい」
「近くにおすすめの定食屋さんありますか?」
課長が無表情のまま言った。
言葉は柔らかいけど、怒ってるのか、飽きれてるか、何とも思ってないのかわからない。
「会社の裏に定食屋さんがあります。『一味』ってお店で、年配のご夫婦がやってる下町の定食屋さんって感じなのですが、お味噌汁がいつも美味しいです。きっと出汁がいいんだと思います。だからハズレのメニューはありませんでした」
無表情だった課長がほんの少しだけ笑みを浮かべたような気がした。
何か課長の笑いを誘うような変な事を言ったんだろうか。
急に恥ずかしくなる。
「あの、あくまで私の主観ですが」
もじもじと言い訳するように言葉を付け足した。